beki雑記

オタクのライブレポ

2019.10.22 @ 豊洲 豊洲PIT オナニーマシーン 「ティッシュタイム・フェスティバル~大感謝祭~」

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オナマシをライブでみてこんなどうしようもない50代でもいいんだ…と安心した1年前が昨日のことのよう。その年の夏にイノマーが癌で舌を切除したと聞いてままならなさを感じた。

そんなオナマシラママ以外でティッシュタイムを開くらしい。ティッシュタイムフェスティバルと題したそのイベントは豊洲PITで氣志團ガガガSPサンボマスター銀杏BOYZオナマシと縁のあるメンツで行うとのことだった。氣志團と縁あったか!?と首を傾げつつも、明らかにキャパ選択を間違えているこのライブにせめておれだけでも行けなきゃだめだろ…と謎の使命感を持ってしまったことがきっかけだ。以下レポ。

 

■開演まで

・会場で今回のタイムテーブルを知って笑ってしまった。なんだよバンナムフェスよりも拘束時間長いやんけ(なお実質的なライブ時間) 

f:id:bekibekibeki:20191109104903j:plain ・オナマシテンガと協賛できたんだ…といった感想。まあ名前がオナニーマシーンですしね…

オナマシの物販ブースに列ができていて涙が止まらない…マジで去年のライブで物販ほぼほぼ誰も買ってなかったんすよ…隣のティッシュタイム限定各バンドのロゴが入ったTシャツはその比じゃないぐらいに並んでいたけど

 

■ライブ

 

銀杏BOYZ

一曲目から今年武道館で見せた演奏とは程遠い荒々しい演奏だった。峯田は多くを語らずゴイステ時代の楽曲を大音量で全体像がわからないぐらいに激しく奏でており、これが峯田なりのオナマシに対してのお祝いなんだなあと感じさせられた。ホンマに2000年代初頭のあの頃の空気だったんですよね

 

1.星に願いを

2.東京少年

3.若者たち

4.駆け抜けて性春

5.愛しておくれ

6.BABY BABY

7.ぽあだむ

8.アーメン ザーメン メリーチェイン

 

ガガガSP

 

コザックの音出しMC、僕らを求めているかたは少ないとは思いますけどイノマーさんを勇気付けてあげてくださいで泣いた。ディスクガレージのフリーペーパー(※1)の特集でティッシュタイムフェスティバルへでやりたいことと言う質問では「最近出るイベントではホバントで繋ぐ2番打者」みたいな役割を心掛けてきたのですが、もうこの日は滅茶苦茶。20代の頃の様にいつでも自分が4番打者!!の様な図々しさを持って参加したいと思います」とコメントしていたのに完全にオナマシにつなげる気マンマンじゃないですか…

セトリも2000年代はじめの楽曲ばかりで本当に前のフロアで聞いてて良かったと想うようなパフォーマンスだった。マジで忘れられない日々が好きすぎてAメロで泣いちゃった。あと、コザックが東須磨小出身でネットで叩かれたと言っていたのがちょっとかわいそうだったけど笑った。

 

1.線香花火

2.晩秋

3.青春時代

4.忘れられない日々

5.国道二号線

6.つなひき帝国

7.明日からではなく

 

サンボマスター

フェスでは親の顔より見たセトリを連発する彼らも今回は違った。最初からオナニーマシーンのテーマのカバーやコザックとのさよならベイビー、そして彼らが世に出ることになったきっかけでもありおれがサンボマスターを知ることとなったスプリットアルバム放課後の性春よりそのぬくもりに用がある。そしてイノマーコールが鳴り響く世界は~とできこっこない~。本当にフロアが10月とは思えないほど熱くなっていた。

俺もイノマーさんもブルーハーツにはなれなかったし俺もイノマーさんもよくわからないものになったみたいな山口のMCも、今後一生ないであろう3000人のイノマーコールも、イノマーとの昔のエピソードも、オナマシとのスプリットアルバムからの選曲も、どれを取っても満点

 

1.オナニーマシーンのテーマ

2.さよならベイビー(withコザック前田)

3.夜汽車でやってきたアイツ

4.そのぬくもりに用がある

5.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

6.できっこないを やらなくちゃ

7.輝きだして走ってく

 

氣志團

 

ティッシュタイムフェスティバル開催発表時から氣志團ってオナマシと関わりあったの!?と思っていたたのだけれど実は今回の面々で一番はやくティッシュタイムに出ていたという彼ら。氣志團オナマシが関わることになったのが、イノマーオリコン編集長時代のコラム欄のメンツ(芸人かコミックバンドに近い色物しかいなかった) を見た綾小路がこれなら氣志團もいける!と思って編集部に長文のコラムを送ったところ次号にそれが普通に掲載されたということなのがきっかけというのが面白い。

綾小路のMCはとても小気味良く、「みんななんだかんだで後輩に影響を与えているけど残念ながらおれたちの影響を受けたバンドはない。もしかして影響を受けているかな?とキリショーに尋ねたところかいやー聞いたことないっすねーと言われたんだよね…」「俺たちは裸スーツ着てNHK出禁なのに本当に全裸になって警察に逮捕されている奴が平気で出ているの本気でおかしいでしょ…(苦笑)そんな奴が今日の出演者にいます」「みんなすごいバンドの次にやるのが氣志團で困っているでしょ?銀杏BOYZなら銀河鉄道の夜ガガガSPなら線香花火、サンボマスターなら世界はそれを愛と呼ぶんだぜといった代表曲があるのに氣志團なんかワンナイトカーニバルだせ?」と自嘲していたのは笑った(特にガガガSPの代表曲が線香花火なんか?晩秋とか国道二号線とかもっといえば人間っていいなじゃ?といったおれの困惑も含めて)。セトリもワンナイトカーニバル2019年ver(DA PUMPのUSAとのマッシュアップ)と2020年ver(星野源の恋とのマッシュアップ)を披露するなど散々自身を一発屋と自虐しながらも硬派なパフォーマンスを見せる彼らは輝いていた。

 

1.砂の丘~Shadow on the Hill~

2.Let's Dance

3.俺達には土曜日しかない

4.One Night Carnival

5.One Night Carnival 2019ver(U.S.Aマッシュアップ)

6.One Night Carnival 2020ver(恋マッシュアップ)

7.今日から俺たちは!!

8.鉄のハート

 

 

オナニーマシーン

 

正直おれは氣志團で大半の客が帰ると思っていた。理由は圧倒的にいままでの4バンドで知名度がないからだ。散々自虐的なMCをした氣志團も昔は東京ドームでワンマンライブをしたことがあるし、ガガガSPだってアニメやCMでの知名度だってある。サンボマスター銀杏BOYZはいうまでもない。そんな中、彼らはメジャーデビューしたとはいえほとんどずっとラママで演奏してきた。

例えばオナマシの代表曲は何?と言われたらおれは回答に少し困ってしまう。恋のABC?ソーシキ?ドーテイ島?おそらくサンボマスターとのスプリットアルバムからの楽曲から挙げたとしてもあー!と納得させるのは難しいだろう。そんな彼らの時間が来てもほとんど帰る客はいなかった。そらは本当に救いだったし嬉しかった、3000人の前でイノマーが立てると。

ただ、オノチンやガンガンのあとに姿を見せた彼は前と様子が違っていた。そこには元気に自分の血の因果(祖父は妾がいて父は愛人がいるため自分には会ったことのない兄弟がいる)や放送禁止用語を嬉々として語り、曲のはじめのコードがわからないオノチンにコードを伝えるイノマーはおらず、眼帯を付けスタッフに車椅子を押されて紛争地にいる子供のようにガリガリに痩せ細った老人がそこにいた。ブリキの太鼓は浦島太郎になっていた。

ギターを持つのもままならず、スタッフに介助してもらう姿は一年前に見た彼ではなかった。舌を切除しているからか、話すことすらままならないのは見ていていたたまれない気持ちになった。そんな中演奏がはじまりどんな心境で見ればいいのかと困惑するのもつかの間、チンチンマンマンの歌がバックスクリーンの歌詞表示とともに流れ、世界一のマンコという最低なリリックに思わず笑みがこぼれた。

こういうバンドなんだよオナマシは…と思いながらもライブは進んでいく。

恒例の使用済みティッシュ投げをイノマーは参加できなかったし、MCは舌の切除のせいかほとんど聞き取れなかったし、歌うたびに酸素ボンベを吸っていたし、もっというなら全裸にもなれなかった(オノチンは脱いだ)。けれど、彼は満身創痍ながらもそこに立ち、アンコールを受け出演者と一緒にI♡オナニーを歌った、それでいいんじゃないだろうか。

 

1.チンチンマンマン

2.あのコがチンポを食べてる

3.恋のABC

4.オナニーマシーンのテーマ

(アンコール)

5.I ♡ オナニー(出演者全員)

6.オナニーマシーンのテーマ

 

■おわりに

演奏が始まるまでは最初はイノマー生前葬ともライブじゃなくこれは闘病記的なドキュメンタリーだ…という気持ちをいつもどおりの下品で最低な歌を歌って吹き飛ばしてくれたイノマー

誰かがMCでいっていた「銀杏BOYZ最高!ガガガSP最高!サンボマスター最高!氣志團最高!オナマシ最低!」というのは本当に的を得ているなと思った。お世辞にもうまいとは言えない今日の歌をおれは一生忘れないだろう。ソーシキの「オイラはどうせ死んじまうんだろ」という諦観をステージ上で見せなかったイノマーにお疲れ様と言いたいし、この錚々たるメンツを呼んで2000年代前半の空気をフラッシュバックさせるイノマーの人徳にただただ感謝したい。

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オナマシのライブで銀テープ(?)が発射されるなんて思いもしなかった

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退場時配布のティッシュ。金がかかっている

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※1

『DI:GIGA』2019年9月号(VOL.287)14p