2019年4月の読書
劇団雌猫『シン・浪費図鑑』2018.10 小学館
前著『浪費図鑑』の続編、浪費図鑑のヒットを受けて製作されたこともあってか、前作にあったアンケート等がなくなっていたのは少々残念。だが、前作同様女オタクへのインタビューは健在で、好きなジャンルへの愛を語る人間はこうも面白いのかと驚嘆させられる。
今回特に好きだったのは以下の3つのインタビュー。
1つめは整形で浪費する女。「整形は痛い」ということを精神的・肉体的に語ると同時に、整形することで今までアプローチされなかったランクが上の異性からアプローチされ人生が輝くための手段として語っていたのが面白かった。
2つ目はハイローで浪費する女。ハイローにハマるまでの経緯とスタンス(EXILEなんてオタクからは遠い存在→ハイローでドハマり)が結構自分と似ていてチョロいオタクはどこにでもいるんだなと親近感を抱いた。
3つ目は安室で浪費する女。2018年の映画以前の安室についての経緯についても青山先生の神対応の話などを含め語っていたのも面白かったし、巻末に「ゼロの執行人」の映画宣伝部スタッフに聞いてみたというインタビューも合わせて興味深かった。
女オタクの熱い趣味語りが聞きたいオタクに薦めたい一冊。
花房ゆい『遊郭へ遊廓へ ――女子ひとりで街歩き』2018.10 柏書房
北は青森、南は福岡まで女性が一人で全国各地の遊郭を歩いた旅行記。この本を読む前、遊郭は新宿歌舞伎町よろしくギラギラ光るネオン街のイメージが強かったのだが、この本に載っている写真を観る限りでは非常に歴史があるというかありていにいうと廃墟に近いような建物で驚いた。それもそのはず、今や結構な割合で営業をしてない建物が大半で、周囲にもあまり人が歩いていないとのこと。それでも作者はなんとか遊郭にまつわるエピソードを聞き出そうと、地元の喫茶店や居酒屋の店員に聞きだそうとしているのが好感が持てる。1つの遊郭につき写真を含め3~4pとと若干物足りなさも感じるが、端的にその地の歴史についても書かれており非常に読みやすいのも○。
遊郭という視点で廃墟の写真が眺めたい人に薦めたい1冊。