beki雑記

オタクのライブレポ

2019年7月の読書

 
門倉紫麻『2.5次元のトップランナーたち 松田誠、茅野イサム、和田俊輔、佐藤流司』2018.12  集英社
 

honto.jp


近年流行っている2.5次元の舞台に携わっている演出家や監督、役者にその魅力と仕事へのこだわりをインタビューした本。個人的には監督と俳優の話が興味深かった。
松田監督のテニミュの話は本当に今までのアニメや漫画の舞台化とは一線を画していた(演者の世代交代やほぼ素人の俳優が千秋楽でものになるのを保護者のように見る客、演者のブロマイドの販売)んだと知ったし、ボールを照明で演出するまでに至る舞台裏はインターネットで空耳のテニミュを知っているレベルのおれでもなるほどな…と感心した。
また、演者の佐藤流司氏の次のような2.5次元に対する姿勢については目を見張るところがあった。

2.5次元って、役者が天狗になりやすいジャンルだと思うんですよね。キャラクターの人気が自分に乗っかってるから、ここにいられるということを、わかっていないといけない。もし2.5次元をやっていなかったら、この取材も受けられていないですよ2.5次元のおかげだし、キャラクターのおかげです。
門倉紫麻『2.5次元トップランナーたち』p162より

 

インターネットを眺めてると、「2.5次元俳優が公演後○○(その俳優が演じるキャラ)と××(その作品の他のキャラを演じる俳優)が△△行った(俳優同士の写真が添付)」みたいなツイートがマジで無理…お前はあくまで舞台の俳優であって普段○○じゃねえだろなりチャ感覚か?」という旨の解釈違いお気持ち表明を見ることがある。若干過激派だな…と思う一方で、コンテンツと演者の距離感は声優コンテンツでも難しさを感じるし、それがナマモノジャンルならなおさらだよな…とも思う。
だからこそ、「キャラクターの人気が自分に乗っかってるから、ここにいられるということを、わかっていないといけない」とまでいう佐藤氏は2.5次元に真摯に向き合ってるなと感じた。
 

石川浩司『懐かしの空き缶大図鑑 石川浩司のお宝コレクション (かもめの本棚)』2019.3   東海教育研究所
 
 
たまの石川が書くレアな空缶本。空缶コレクション自体はこち亀のエピソードであるぐらいなのでそこまでドマイナーな趣味ではないのだろうが、たまの石川が作者でめちゃくちゃ驚いた。だいぶニッチな期間限定商品があるんだなと知れる面白い一冊。少し残念なのが缶自体のエピソードがものすごく薄く、ほぼ写真集になっているところ。例えば飲料メーカー社員と開発秘話などの対談をしていたらもっと良かっただけに惜しい。
 


藤本貴之 『パクリの技法』2019.2 オーム社
 

古今東西のパクリについて、その語源から類型、関連法令までを解説した本。作者のあとがきでぶっちゃけ法律議論にしてしまえば簡単に白黒付けられるけど、実際には著作権者はほぼほぼそうはしない、パクリというのはさまざまな意味の含んだ言葉であるというのが印象的だった。確かにまえがきにも書いているけど、確かにパクリという言葉、ヤバい並みに使ってるもんなあと。ヤバイTシャツ屋さんの何がヤバイのか未だにわかってへんし。
 

山下 貴司 ほか『チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A 決定版!』2019.5 第一法規
 

不正転売禁止法について80問のQ&A形式で弁護士が解説した本。抱き合わせ販売や「業として転売」の意味などわかりやすく解説しているのがグッド。来年のオリンピックに向けて6月にこの法律が施行されたのにインターネットではまだ普通に定価の数倍で売ってるから本当にこえーなとしか。この本によると定価+発券手数料ですら手数料分上乗せするのはアウトって書いてあるのにどこまでチキンレース続けるつもりだよと。逆に定価未満で売るのは問題ないらしいので万が一ライブに行けなくなったときにとりあえず処分できることに安心した。いやマジで埋まってないとバンドマンのモチベにも関わるので…