beki雑記

オタクのライブレポ

あかるい呪詛師(aiko「Love Like Pop add. 10th Anniversary」を観ました)

少し前、ツイッターを眺めていたら以下のようなまとめを見かけた。

 

togetter.com

 

aikoは平成を代表する女性アーティストであることはいうまでもないが、そのaikoの歌詞が呪いのようなフレーズと形容されているのをみて少しおかしくなってしまった、Coccoならともかく。

 

だが、彼女についてそこまで詳しくないおれもそんな曲があることは知っていた。2006年に発売されたスーパー名盤こと『彼女』に収録されている「深海冷蔵庫」だ。おれは本当にこの曲が好きで好きで仕方がない。しっとりとしたカバサからはじまり、Aメロの腐った卵や味の無くなったガムのような関係の終末を例えるような比喩、サビでの暖かい冷蔵庫という不思議なフレーズ、そして大サビで今までの「わたし」と「あなた」の思い出をすべて吐露するかのような呪詛ラッシュ。どれひとつとってもaikoのmasterpieceである要素を構成していることは間違いない。
もちろん、先日発売されたシングルコレクションには入っていない曲であり、会社の年2ペースでaikoのライブに行く先輩に「彼女に収録されている深海冷蔵庫好きなんすよね」と言ってもそういえばそんな曲あったね…程度のリアクションしかもらえない知名度のアルバム曲である。ライブファンズを確認しても最後に演奏されたのが4年前の2015年だ。だが、生で聞くことはかなわなくてもそれに近い形態で聞きたい!と調べていたところライブDVDが発売されていたことに気付いたのが今回視聴に至った経緯である。以下感想。

 

DVDで観たaikoは率直に言えばただただ明るく楽しそうだった。スローテンポのバラードが多い『彼女』中心のセットリストでありつつも、間にシングルメドレーをはさみつつ上手くまとめていた。今回視聴していてひとつ驚いたことがある。定番の男子~?女子~?に加えてそれ以外の人~?というコールがあったのだ。2000年代にこういった配慮のあるコールをしているのはなかなか珍しいなと。そしてライブ終盤、バックバンドの皆様が一人ずつ有名な曲のフレーズを演奏していくパートがあったのだがこれだけで15分近く使っていたのは爆笑したし、それを聞く観客にあたたかな空気が流れていたのは嫌師であった。
本命の深海冷蔵庫だが、言葉にするのができないほどよかった。青いレーザーを浴び大サビで「あなた」に対して気持ちをこめて呪詛を紡ぐaikoは本当に輝いていたのだった。

 

おわりに先月放送されたバズリズムでのaiko特集を紹介したい。彼女のライブの満足度が非常に高い理由に迫るという放送だったのだが、確かにDVDで観るだけでもその魅力が理解できた。aikoそのひとが観客に対して真摯に向き合うからこそ、観客席に笑顔が絶えないのだろう。

自分もその一端にふれるべくライブに行ってみたいと強く思う。