2019.5.18 @ 所沢 メットライフドーム Poppin’Party・SILENT SIREN「Poppin’Party×SILENT SIREN 対バンライブ「NO GIRL NO CRY」」
■ライブ前
7thのレポで西武ドームならチケット楽勝でしょと書いたのだが、その予想が当たり普通にチケットが取れた。それもそのはず、西武ドームは明らかにキャパが大きかった。
当日、物販に並んだ後、16:00頃に入場しトイレに向かったのだが、この時点で異変に気付いた。トイレが普通に入れるのだ。何言ってんの?と思う方もいるかもしれない。1時間前ならトイレぐらい入れるでしょ?と。ただ、おれの少ない西武ドームでのライブ経験(WANIMA、ラブライブサンシャイン×2、アイドルマスターシンデレラガールズ)を振り返ってみても、開演1時間前の段階でトイレに入るだけでも5~10分待つのは当たり前だった。そして席に向かってまた異変に気付いてしまう。アリーナに花道やバックスステージがないのに余白があり、スタンド席の真横や芝生席が販売されていないことに。
下手な図説で申し訳ないが、以下のような状態であり、お世辞でも埋まっている状態ではなかったし、公式発表で二日間で3万人強だったとのこと(ここには貼らないが、ツイッターで「バンドリ ガラガラ」で検索すると当日の会場の雰囲気が察せられる)。
これについて自分なりに原因を考えてみることにした。
①外タレでも呼ぶの?と思えるほどのチケット価格の高さ
ツイッターの自分のフォロワーさんには、西武ドームで行われたサザンオールスターズのライブに行った方がいた。自分が何気なくチケットの価格(当日券11000円)についてつぶやくと、その値段に困惑の色を示していた。それもそうだろう、誰でも知っているような知名度のサザンのチケットが9500円なのにそれ以上の価格というのはいくら声優イベントの価格が高くなりがちといえどもはいそうですかと納得しがたいのは理解できる。事実、自分が参加した西武ドームでのライブのチケットの価格はWANIMAが7400円、ラブライブサンシャインの2nd・3rdともに8800円、アイドルマスターシンデレラガールズは9900円と行った価格で1万円は超えていない(CDを積んだりファンクラブ等に入会しないとまず抽選に申し込めないケースも多いので実質的な価格は一概には言えないが)。
ただ、バンドリのメインユーザーが中高生だということに配慮して7560円の学生席を作る配慮にはさすがブシロードとは思った。
②キャパの急激な上げ方
もしあなたが「武道館→幕張メッセ(3ホール)→両国国技館→武道館」と地道に会場のキャパを調整してきたアーティストのプロモーターだったとして、次のライブのブッキングを行うとしたらどの規模の会場を抑えたいと思うだろうか。個人的にはこのまま武道館で維持するか、少しキャパを大きくしてSSA(アリーナモード)か横浜アリーナあたりでやるのが妥当かな、と思う。おれは正直西武ドームが決まった瞬間嬉しい気持ちでいっぱいだったし、今でもその気持ちに嘘はない。ただ、当たり前の話だが西武ドームは球場であり、キャパは3万を越える。それを最大キャパが武道館のバンドに埋められるか?といったら難しいと考えるのが人情だろう。前述したWANIMAは3.5万人の会場をSOLDさせていたが、その前にSSAでツアーファイナル公演を成功させていた。このことからも、いきなりドーム公演ではなく、もう少しステップを踏むべきではなかったのか…と思わざるを得ない。
③2マンという形式のライブ
自分の勉強不足でもし頻繁に開催されているのなら申し訳ないが、ドーム規模の会場でフェス形式ならまだしも2マンという形式でのライブはあまり聞いたことがない。そして、7thでサイサイが出たときのバンドリーマーの皆様の誰?というリアクションは昨日のことのように思い出される。
サイサイに一切非はない。これは運営がバンドリのメインユーザーの多くがガールズバンドどころか昔流行ったアニメの主題歌にも疎いのをわかっているのにブッキングしたのが悪手だったと考える。そもそも、ワンマンでもそこまで曲数を多く演奏しないのに2マンなら単純計算で1/2に演奏曲数が減るのは容易に想像できるだろう(事実演奏したのは10曲前後だった)。ポピパの楽曲だけ聞きたい!という層がそんなライブに魅力を感じるかというと微妙だ。
ここまて散々書いたけれど、ライブ自体は最高だった。以下レポ。
いつものノれるナンバーを4曲ゲストアクトとしてやりきってくれた。ただ、武道館で観たときよりも音が圧倒的に響いていなかった。これは彼女たちではなく完全にPAの問題なのでデカい会場で慣れてないのはわかるけど頼むぞ…という気持ち
・キズナミュージック♪
アニメで散々聞いても佳いものは佳いね…
・B.O.F
ステージが後方にそのまま動いてくるのは想定外だった
・Happy Happy Party!
トロッコであやさが目の前に来て…最高で…
Cメロのクラップのあとの静寂が本当に気持ちよかった
・Dreamers Go!
BGVがアニメの総集編で本当にエモーションになっちゃった
・ティアドロップス
ちょうど暗くなってきた所沢を赤と青に染めちゃったね
・8月のif
西武ドームで圧倒的な歌唱力を見せるアヤカオーハシ
・キラキラだとか夢だとか
こちらの方にトロッコでやってきたアヤカオーハシがスネア線をちゃんと入れて楽しそうに叩いてたのをみてうれしくなった。スピーカー越しじゃない生の音、こんなによかったんだなって
・NO GIRL NO CRY→Time Lapse→STAR BEAT!~ホシノコドウ~
炎を出したり会場いっぱいにレーザーを放ったりクソデカ風船をアリーナに放ったりとブシロマネーでやりたい放題かよと爆笑した。
ロッキンで聴いたときも思ったがとにかく声質が佳い。パフォーマンスも10年やっているバンドの貫禄というかドームがはじめてとは思えない圧巻の演奏でおれも震えた。
ひとつお気持ちを表明させていただけるのなら、バンドリーマーの皆様がバンドリ時空のガールズバンド感覚でピンクのペンライトを振っており、いやめちゃくちゃ綺麗だけどバンドのライブであまりペンラ振らないだろ…となんともいえない気持ちになりながら腕を突き上げていた(帰ってから調べてみたところ、サイサイも当初は物販でペンライトを売っていたそうだが、2015年のツアーではサイリウムの仕様を禁止し、ヒカルリストバンドを配布したことを確認した。非公式のファンサイトやファンのツイッター等を見てもあまりペンライトを使っているような気配はない印象。近くにいたサイサイTシャツを着たカップルは振っていなかった。正直今度のZeppに行きたくなったのでそこで確認したい)。
「はじめてサイサイをみた人~」と聞かれ大半が挙手をするサイサイにはアウェーの環境なので仕方のないことなのだが。
一番印象的だったのが、最後に演奏した「恋のエスパー」の途中でときめきエクスペリエンスを1フレーズ歌ったとき、サイサイの演奏中最も観客が沸いていたところ。これはアジカンが作詞を行っていない「ソラニン」がファン投票1位になったときの後藤正文の気持ちなんだろうな、とふと思った。
■おわりに
冒頭でお客さんめちゃくちゃ少ないじゃん!なんで!!みたいなことをつらつらと書いたけれど、西武ドームという会場を生かした派手な演出は本当によかった。次ドームでティアドロップスを聞く機会があれば、アリーナ・スタンドともに余白のない赤と青に染まる会場が見たいし、いつか見れると確信している。つーか、これからっしょ!
※1
ポピパとサイサイの銀テープ。銀テープ以外でも、サイサイの皆様がポピパやブシロード、バンドリーマーにラッパー並の感謝を示していたのなんだか申し訳なくなる。今回良かったのが、スタッフの方が銀テープを回収して積極的に客に配っていたところ。自分の記憶では今まであまりやっていなかった気がするので。
※2
このエントリを書いている22日夜にポピパロッキン出演発表に沸きました。
先週までのおれ「ロッキンは今年5日間開催でもうめぼしいバンドが分散されるし数年前からポッピンジャパンどころかアイドルインジャパンだしギャラが高そうな人気バンドはサマソニかフジロックかライジングサンに出てロッキンに出ないし本誌もちょくちょくアイドルを表紙にするしやっぱナンバガとエルレと銀杏が出るライジングサンに行きてえ…2000年代前半のバンドマンがおちんちんを露出するロッキンにもどして」
今のおれ「渋谷陽一に一生着いていくぜ」
※3
※4
天下一品のテーマを聞いたのでライブ後天一に行きました
映画「劇場版 響け! ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」を観ました
いやー面白かった、以下箇条書き感想。
・いきなりくみこラブストーリーをはじめるの爆笑するからやめろ
・中間管理職クミコ(講談社コミックス)
・久美子マジで上はあすか先輩下は奏といいマジで先輩後輩運なくない?
・マジで奏がギスらせるのがつらくて共感性羞恥みたいなのが爆発しちゃった
・みっちゃんがマーチング前に逃げ出すシーン、高校のときの地方大会で本番10分前に同期が行方不明になったことを思い出したんですよ(トイレで震えていた)
・楽器運ぶシーンで懐かしい気持ちになったしリハ室のなんかよくわからないやわい床、本当に考証しっかりしてるね…
・『リズと青い鳥』と同じ時間軸で物語が進んでいるのに一切触れられないみぞれと希をみていると誰にでもその一瞬を切り取って貼り付けたら何かしらのドラマは生まれていると同時に一人一人物語をやっているんだと感情電車になりました
・死ぬほどくやしいです!(クリムゾンの同人誌)
・雨の演出が本当にお上手でなにより
フィルム目当てでもう一度見ます、ありがとう京アニ。
2019.5.5 @ 新木場 新木場 Studio Coast 日向美ビタースイーツ♪・ここなつ「EDP presents ひなビタ♪ライブ 2019 日向美ビタースイーツ♪ × ここなつ~Sweet Smile Merry go round~」
■ひなビタについて
皆様もオタクなら何かしら音ゲーをおやりになった方が多いとは思いますがいかがでしょうか。おれにとってそれがユビートでした。まあまったくもって上手くなく、EXTREMEの8ですらヒーヒーいうレベルだったのでゲーム自体について語れないのですが、オリジナル曲として入っていたひなビタの曲がすごくよかったのを覚えています(特に印象に残っている曲が『走れメロンパン』や『恋とキングコング』、『ちくわパフェだよCKP』、『ホーンテッドメイドランチ』などです)。そんなひなビタの曲を生で聞きたいと思っていたのですが、よくプレイしていた2013~2014年当時は自分の知る限りではライブ自体がなく、ユビートから遠ざかるとともに彼女たちの楽曲も記憶の片隅に追いやられていきました。
月日はながれ2019年5月5日、いつものようにツイッターを眺めているとひなビタのライブの告知が流れてきました。そういやなんかライブやるとかいうツイート前にも見たな…と日程を確認すると本日だとのこと。今日やるの!?と驚きを隠せないままのおれに当日券も発売するという知らせはあまりに甘美で…昼は既に映画の予約(1720終了予定)を取っていたのでダッシュで行けばギリギリ夜なら間に合うか!?と思い新木場に向かったところ当日券がまだ売っていたので無事購入しライブに参加しました。以下レポです。
■前半
ひなビタとここなつが1曲ずつ交互に演奏していくタイプの2マンライブでした。映像と演出がユニットごとに違っていたのが面白かったです。
ひなビタは、スクリーンに演者の演奏を映してレーザー少な目の一般的な声優ライブで、ここなつはKONAMIの音ゲーっぽい図形のBGVを流しつつ、過剰なまでのレーザーを客席に放つDJイベントのようなライブと差別化を図っておりました。特に後者はあのRyuさんが途中でDJをするなど味な演出が粋でした。
印象的だったのが、『凛として咲く花の如く』で楽曲自体も生バンドで聞けてうれしいのはもちろんですが、ラスサビのハイハットの4つ打ちが聞いていて最高に気持ちよくてドラマーの方の技量の高さを感じました。
■中盤
メンバー紹介がてらショートverのソロ曲の披露でした。
■後半
混合ユニットでの楽曲や全体曲、バックバンドの方の演奏など。ここでノリノリで津田さんが「昼間はやらなかった滅ぼす曲やっちゃおうか」的なMCからの『滅びに至るエランプシス』を披露したり、「うらうらめしや~」のコールが最高に気持ちよく、咲子役の山口愛さんの今日の衣装であるメイド服がこの曲のためにあったのではないか?とも思える『ホーンテッドメイドランチ』など良さしかありませんでした。
そして満を持しての『走れメロンパン』。この曲を生で、しかも生バンドで聞けたことでこの公演が7500円以上の価値を持ったことは間違いありません。また、「私が男の子だったら 君に告白とかするのかな?」のフレーズで見つめ合うここなつの2人を観ていたら完全にいいようのない疲労と倦怠と退屈な人生をわずかに忘れる事ができちゃいました。もう何も言えません。
■アンコール後
演者の皆さんのエモく長いMCからのナナイロライト、1000000点!!!!!
MC中に途中でtomosukeさんがキャストに呼ばれて出てきて今回のライブのテーマが「幸せ」と語っていたのですが、今回コーストに来た人間すべて幸せにできていただろうと確信できるライブでしたよ。
そして、キャスト降壇からの今回出演しなかった凛とめうのボイスドラマパートも余韻を残す感じで佳かったです。その後はスタッフロールキャンセル→五十嵐さんのメッセージ→スタッフロール→see you next liveとの表示で終わるのも最高。
■おわりに
いやーめうと凛ちゃん抜きでここまで楽しいとは想像以上でした。もし過去に遡れるなら映画の予約をキャンセルして昼公演も参加したいですし、去年のライブも行きたいですよ、頼むジョンタイター。
ライブ自体はMC等を抜くと正味1時間30分ぐらいで若干短めではありましたが、1つ1つの演出が優れておりすごく濃密な時間でした。そして津田美波さんの7日間で天地創造しそうな歌声、本当によかった。
今回、最後列で観たのでまともに顔を観れたのがRyuさんとtomosukeさんだけだったので次のライブではちゃんとチケットを買って前で観たいなと思います。
今回ちょっと笑ったのがスタジオコースト名物ゴムの自販機がなぜか存在を抹消されており、ドリンクもソフトドリンクのみだったことです。ドリンクはともかくゴムは別にそんなことしなくても感が…今月またコーストに行くのでその時はどんな感じか確認したいと思います。
2019年4月の読書
劇団雌猫『シン・浪費図鑑』2018.10 小学館
前著『浪費図鑑』の続編、浪費図鑑のヒットを受けて製作されたこともあってか、前作にあったアンケート等がなくなっていたのは少々残念。だが、前作同様女オタクへのインタビューは健在で、好きなジャンルへの愛を語る人間はこうも面白いのかと驚嘆させられる。
今回特に好きだったのは以下の3つのインタビュー。
1つめは整形で浪費する女。「整形は痛い」ということを精神的・肉体的に語ると同時に、整形することで今までアプローチされなかったランクが上の異性からアプローチされ人生が輝くための手段として語っていたのが面白かった。
2つ目はハイローで浪費する女。ハイローにハマるまでの経緯とスタンス(EXILEなんてオタクからは遠い存在→ハイローでドハマり)が結構自分と似ていてチョロいオタクはどこにでもいるんだなと親近感を抱いた。
3つ目は安室で浪費する女。2018年の映画以前の安室についての経緯についても青山先生の神対応の話などを含め語っていたのも面白かったし、巻末に「ゼロの執行人」の映画宣伝部スタッフに聞いてみたというインタビューも合わせて興味深かった。
女オタクの熱い趣味語りが聞きたいオタクに薦めたい一冊。
花房ゆい『遊郭へ遊廓へ ――女子ひとりで街歩き』2018.10 柏書房
北は青森、南は福岡まで女性が一人で全国各地の遊郭を歩いた旅行記。この本を読む前、遊郭は新宿歌舞伎町よろしくギラギラ光るネオン街のイメージが強かったのだが、この本に載っている写真を観る限りでは非常に歴史があるというかありていにいうと廃墟に近いような建物で驚いた。それもそのはず、今や結構な割合で営業をしてない建物が大半で、周囲にもあまり人が歩いていないとのこと。それでも作者はなんとか遊郭にまつわるエピソードを聞き出そうと、地元の喫茶店や居酒屋の店員に聞きだそうとしているのが好感が持てる。1つの遊郭につき写真を含め3~4pとと若干物足りなさも感じるが、端的にその地の歴史についても書かれており非常に読みやすいのも○。
遊郭という視点で廃墟の写真が眺めたい人に薦めたい1冊。
2019.4.24 @ 渋谷 CLUB QUATTRO Analogfish ・ASIAN KUNG-FU GENERATION「聖地巡礼 – Analogfish X ASIAN KUNG-FU GENERATION 」
アジカンがクアトロでライブをすると知り、すごく行きたい気持ちになったのだが、あいにくおれはアナログフィッシュを存じ上げなかった。ただ、すごく良いと勧められベストアルバムを借りてみたところ、スペースシャトルが墜落した曲(※1)をはじめとして思った以上に耳に馴染んだ。ただ同時にゆったりと座って鑑賞したいな…という気持ちが強かったのも事実であり、オルスタで観ていいのかなという不安も少しよぎった。
以下レポ。
■アジカン
3mの距離で生の後藤正文を見て思いのほか小さいなという感想が脳裏によぎったのだが、それ以上にパフォーマンスに圧倒された。アジカン自体、去年のロッキンでグラスステージの端でしか見たことがなかったので、こうやってまじまじと見るとその技術の高さにさすがこのCDの売れない時代にアルバムを2万枚売るバンドだなと納得させられたのが正直なところ。
セトリについて、ロッキンのベストアルバムのようなフェス映えをねらったセトリとは異なり、新譜ホームタウンからの楽曲が中心だった。個人的には森見登美彦のアニメ主題歌の「荒野を歩け」や「迷い犬と雨のビート」が聞けたのが嬉しかった。また、MCで後藤自身も非常におだやかでアナログフィッシュの20周年を祝っており少しほんわかした。
演奏終了後、周囲の女性が号泣していたけれど、あれを観たら確かにな…と妙に納得できる圧巻のステージだった。
ベストアルバムを聴いた時に抱いたゆっくり座って観たいという印象とはまったく異なるパフォーマンスにただただ驚いた。これについては、アジカン後藤のツイートが本当に的を得ており、陰と陽がちょうどよく混ざったダブルボーカルの歌声がひたすら心地よかった。特に下岡のCDの音源とは明らかに異なる魂のこもった歌唱に最高以外の言葉がない。
(付け加えるとFineでの佐々木の声に元気をたくさんもらった)
平成最後に観るライブがアジカンとアナログフィッシュでよかった、と思えた夜だった。
※1
2019.4.6 @幕張 幕張メッセ サカナクション「SAKANAQUARIUM2019 “834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」
サカナクションを見る機会に恵まれなかった。チケット常に落ちるのが当たり前なぐらい人気のバンドなので仕方がないのだが。ただ、2017年のロッキンでチャンスはあった。しかし、その機会は山口一郎か山口隆かという苦渋の選択を迫るものであり、おれは隆を選んだのだった(あの時のサンボマスターのロックンロールイズノットデッドはmasterpieceといっていいものであったため後悔はない)。
そんな生のライブに触れることができなかったおれでも、2018年のフジロック生中継や一生再放送してくれ頼む!と言った出来のNHKのアクアリウムのライブ放送を見て背筋がぞくぞくしたのを鮮明に覚えている。このバンドを生で見たらどんな感情が湧き上がるだろうと。
当日、幕張についたおれは異常な女子トイレの混雑具合に驚きつつも会場に入った。おれの席はBLブロックだったのだが、オルスタのライブとは思えないほど床に座っている人間の多さに面喰いつつつ前に向かう。パッと見た感じ男女比は1:1で若者とそれ以外が9:1ぐらい。若者に人気のバンドという印象が強かったので想像以上に中高年が多く、普遍性のある音楽なんだなとふと思った。
いきなりですがはじめます
サカナクションのライブのここがすごい!
■舞台や照明等の演出の力の入りようがすごい!
正直NHKの放送でその幻想的な雰囲気と言うか青一色に染まる会場をみて金かかってんな~と思っていたのだけど、会場で演奏とともに流れる映像や舞台上での幕の演出、やまないレーザーの光などを生で体感してその世界観の作り込みように感動するしかなかった。
■6.1サラウンドの音がすごい!
山口曰く通常のライブやフェスで一般的な舞台両横に2つ大きなスピーカーを設置するようなものではなく、それに加えて会場中央と後方に2つずつ、舞台下に「田舎のヤンキーが車に付けているような」低音のスピーカーを付けて立体的に演奏が聞けるようにしたとのこと。これは実際に体感してみないとわかならいのだけど、ディレイの効果が会場に響き渡っていて本当にすごいの一言。全身で音楽を聴いているという言葉を聞いて久しいけれど、実際にそんな感じなので本当に心の芯から楽しい気持ちになれた。
■セトリが強い!
ベストアルバム『魚図鑑』を発売して1年が経ったけれど、それに沿うようなセトリでサカナクションに詳しくなかったとしても楽しめる。具体的にはミュージックや新宝島、夜の踊り子をはじめとしたお馴染みのナンバーから、6月に発売するニューアルバムから2曲を先行して演奏するなど楽しくなるセットリスト。
今回佳かった場面を切り取るとすると以下のとおり。
・ミュージックで大音量の会場が無音になる一瞬。
・新宝島で例のチアガールが大量に入ってきて会場が「新宝島」だ…となる空気
・最後の曲のグッドバイでスタッフロールが流れながら演奏を続ける彼ら
■山口一郎がすごい!
常に真剣な顔で歌う彼が要所要所でみせるくしゃくしゃの笑顔、おれ好みのもの。そして、全体を通してMC自体なかったのだが、話す一言一言が音楽に真剣に向き合っているんだなと感じさせた(新アルバムのタイトルの834.194は札幌のライブハウスから東京のスタジオまでの距離のくだりなど)。あとやたらと観客に踊れますかと煽るところはほんとうにすき。
正直豪華なライブという意味では去年のEXILE に次ぐと思うし、何よりも客一人一人が楽しそうに思い思いに踊っていたライブだった。これはライブというより(参加したことはないので想像でしかないのだけれども)サカナクションの演奏付レイヴパーティと言ってもいいのかなと。いやー本当にベスト聞いて1曲でもいいなと思ったら絶対に言っていいライブだと確信した。皆さんサカナクションがソールドしても赤字だというライブ体験しに行きましょうよ、絶対損はさせないんで。おれは少なくともスーパー名曲こと僕と花を聞くまでは行きます…
2019.3.16 @ 代官山 代官山 アーバンギャルド「愛と幻想のアーバンギャルドツアー~あなた元年~」
アーバンギャルドのギターのぜぜさんがアーバンギャルドを脱退すると聞いたのが昨年の秋だった。それを聞いてあのMCでいつも今期アニメの話をするぜぜさんも解雇された人みたいなことをしていたの!?と本気であせったのだが、普通に親の介護で辞めるとのこと。世知辛いのじゃあ…と思いつつも彼の最後のパフォーマンスを観るためUNITのチケットを取り当日のライブを迎えた。
ライブ自体は何もいえないほどよかった。よこたんの200回を越えた声優ラジオ(※1)のようなけだるげなテンションでの開演前MCからはじまり、少女元年や鏡屋さん、いちご売れ、プラモデル、テロル、天使にしやがれ、コスプレイヤーなどツアータイトルの名のとおりアルバム曲が多かった。個人的には、u星より愛をこめてのような初期の曲をやってくれるとは思わなかったし、ぜぜさんの最後のライブということで箱男やコミック雑誌なんかILLかい等の彼作曲の楽曲があったのもポイントが高かった(※2)。自分はUNIT特有のクソデカ柱の裏でモニターを眺めていたため、普段のライブではわからないようなこと(天馬のオッサンの歌ってないときのわちゃわちゃした動きなど)が俯瞰できたのも直接舞台を見ることはできなかった分佳かったように思える。
また、アンコール後のMCで、皆が思い思いにぜぜさんについて語っていたのも佳かった。
サポートドラムのミワさんは思いは胸に秘めると。おおくぼけいは高齢者組(?)として色々助言してくれてありがとうと。天馬のオッサンは同志社の学食で出会って以来18年ずっと一緒にやってくれてありがとうと。よこたんは天馬をはじめとしたおかしなメンバーの中で唯一まともな人としてやってくれてありがとうと。ぜぜさんはにゃんぱす~と挨拶をし、死ぬわけではないし、またいずれそういう機会があれば一緒に舞台に立つこともあるかもしれないから湿っぽいのはやめよう、そしてありがとうと言った。ぜぜさんが最後に演奏したのはさよならサブカルチャーで、それはぜぜさんを送るのにすごく適していたように思えた。演奏後ぜぜさんは「魂はここに置いていくぜ」と言い舞台裏に消えて行ったのがすごく印象に残っている。
アーバンギャルドにとってぜぜさんは彼らの言葉を使うなら代官山UNITの中央にある柱のような正に屋台骨といっていい存在だったので、これからバンドがどうなるかはわからないけど、今はただぜぜさんにありがとうといいたい。
※1
あの声優ラジオ特有のリスナーと声優が適度な馴れ合いの結果生まれるリスナーを軽く馬鹿にする態度
※2
よこたんのかわりにコーラスをぜぜさんが歌っていたのが佳かった