beki雑記

オタクのライブレポ

2019年2・3月の読書

岡本 健『巡礼ビジネス ポップカルチャーが観光資産になる時代』2018/12 KADOKAWA

 

聖地巡礼の観光学』の実質的な続編。前著『聖地巡礼の観光学』は著者の2012年の博士論文を手直しして本にしただけあって、若干取り扱うアニメの古さと固い文章であったが、今回は新書という事もあって非常に読みやすいものとなっている。取り扱う作品も、ラブライブサンシャインや艦これ、刀剣乱舞ポケモンGOなどの新しいコンテンツについて言及しているほか、らきすたと地域との10年など、聖地の枠を越え地域に根付いたコンテンツの今など、いかにアニメコンテンツと共存していくか?という視点で書かれていたり、クラウドファンディング等の新たなビジネスモデルにも触れているのも佳かった。個人的に著者の文章が好きなので、著作である『ゾンビ学』も機会があれば読みたい。

 

伊田 広行『シングル単位思考法でわかるデートDV予防学』2018/12 かもがわ出版

 

デートDVという概念を具体的な事例とともに解説しシングル単位思考を身に着けよう!という本。シングル単位思考とは、交際相手を自身の一部とみなす従来のカップル単位ではなく、両者の間に境界線があり、必ずしも意見が一致する必要がなく、お互いのことを尊重し合う思考とのこと。この思考は当たり前のようでありつつも、「愛情があれば嫉妬束縛は当然だ」という「ふつうの恋愛観」こそがデートDVにつながる危険因子だと著者は指摘しており、カップル単位の思考では弱い立場の自由がなくなると主張している。

ただ、自分がこの本を読んだ際に、この考え方がはたして一般的に浸透するのか?と思ってしまった。というのも、一般的に人々の共感を受けるラブソングの多くが2人で1つのカップル単位の思考法の歌(※1)が大半であるため、人権意識が急速に高まりを見せる昨今でもこの価値観は安々とは変わらないだろうと感じざるを得ない。ただ、5章で述べている別れからのストーカー化への対策等は非常に実用的であり、シングル思考法を身に着けるかはともかくとして、公教育等で多少なりとも学ぶ機会があってもいいように思う。

 

野瀬貴士『ネットに騙されない本当の中古車選び』2018/11 啓文社書房

 

中古車販売に長年携わってきた作者が書く中古車の選び方本。「ネットに騙されない~」とあるように、中古車についてネットには様々な情報があるが、ただでさえ玉石混合なのに加えて、最近ではSEO対策に余念のない企業のまとめブログなどにより検索上位が荒らされ確かな情報にアクセスしづらくなっているため、自社の宣伝もなくここまで詳しく1冊にまとめているのは本当に貴重でほぼ類書がないと思われる。例えば、コミコミ価格のカラクリ、各種中古車検索サイト一覧、法人登録車がオススメの理由、写真解説でわかる外装・装備品等のチェックポイント、試乗の重要性など非常に多岐にわたって注意点がまとめられているため、はじめて中古車を購入する際に読みたい1冊。

 

千々石さわ『今井リサVS湊友希那担強火バンギャ』2019/2  

 

バンドリロゼリアのゆきな様に馴れ馴れしい態度(モブバンギャ主観)をとる今井リサに対して嫉妬の炎を燃やす強気モブバンギャの二次創作。バンドリのアニメ2期を視聴の皆様はご存じのとおり、ライブ後ゆ”き”な”さ”ま”~と限界すぎるクソデカ聲を出す女オタクの存在が明らかになったが、それをテーマに同人誌を作ることにまず恐れ入ってしまった。正直本当に面白いとしか言いようがないのだけれど、特に好きなのが実質的な主人公であるモブバンギャのゆうめろ。まず、ツイッターのアイコンが名は体を表すようにマイメロの時点で笑ってしまったし、ロゼリアバンギャのオフ会の乾杯の挨拶がゆきな様へのガチ恋口上で始まるのも限界すぎるし、リサちゃんのインスタを見て(ゆきな様のアカウントよりもゆきな様情報が得られるのでフォローは絶対にしないがリストに入れて見ている)「秋刀魚の香草焼きってババアかよ」と毒を吐いていたのには思わず吹き出してしまった。本編も、ガチ恋限界バンギャであるゆうめろがゆきな様をどれだけ好きだとしても、演者とバンギャの関係は越えらないところは刺さったし、孤高の存在のゆきな様も変わっていくゆきな様も好きだけれどもゆきなさまを変えていく今井はマジ赦せねえよ…という心情は本当にゆうめろの(良くも悪くも)ピュアさが出ていて佳かった。今後モブバンギャ本増えてほしいな…と9話でリサ様と書かれたタイムテーブルを見て思いました。

 

高橋 直子『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』2019/01 青弓社

 

今月のmasterpiece。

1960年代のオカルト番組から2000年代のスピリチュアル番組に至るまでメディアがどのような意図を持って超常現象や霊能力等の番組を放送していたのかを順序立てて説明し、なぜそのような番組が(消えたとは言わずとも)少なくなってしまったのかを解説した本。

この本を要約すると、1960年~1980年台の超能力や霊能力等のオカルト番組は視聴者が半信半疑であることが前提で、あるかどうかわからないロマンを楽しむものだったからこそ成立したものであり、やらせを含めて真実か否かは視聴者の判断に任せられていた。だが、1990年代以降、超能力や霊能力等を科学的に検証するという番組が多数になり、番組構成上、霊能力が本物(であるだろう)という前提で作らざるを得なくなった。そのため、1980年代までのオカルト番組=視聴者が半信半疑で楽しむエンターテイメントとしての図式が成立しなくなりつつあったという。さらに、2000年台になり流行ったスピリチュアル番組は1990年台までのオカルト番組とも異なり、「トークインタビュー番組」であるため、トークが中心であるとしつつも、前世が○○だったという発言に対してツッコミの余地もなく、『信じてしまう視聴者がいることも念頭に置きながら』霊能力等を全面的に肯定する番組づくりが行われたことが、視聴者に判断の余地を任せあるかどうかわからないロマンを楽しむものだったオカルト番組を終焉に向かわせたというのが著者の主張である。

個人的には、1968年に『万国びっくりショー』という番組でメスや麻酔を使わず指で切開し治療する海外の心霊手術をあたかも真実のように放送し、その是非を視聴者の判断に任せていたというのは今の感覚では信じられないし、ブラックジャックの「その子を殺すな!」に元ネタがあったとは…と感慨深い気持ちになった。オカルト番組論というよりはメディアとそれを見る視聴者とのリテラシー論と言う感じなのでオカルトに興味がなくてもぜひ読んでいただきたい。

 

 

 

※1

好きな曲を貼ります。

www.youtube.com

2019.03.08  @  さいたま さいたまスーパーアリーナ Wake Up, Girls!「Wake Up,Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~」  

 

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WUGと今まで関わらないまま2019年まで生きてきた。

アニメ1期も3話ぐらいで視聴しなくなっていたし、楽曲もMONACAが関わっているんだ~へぇ~程度だったし、やたらと作画のいいオタクや監督周りのこと、アニメ二期などがネットで話題になるたびに息の長いコンテンツなんだとぼんやりと思っていた。おれがフォローしているタイムラインの人間は逆張り大好きオタクというかアーリーアダプターが非常に多い印象があったため、その影響で色々と目にする機会が多かったのかもしれない。

 

そんなwugも解散が決定し、ファイナルライブをSSAで行うという。正直SSAのキャパの大きさは国内有数であり、よっぽどの知名度と人気でない限り埋めることは非常に困難だということは昨年話題になったジュリーの騒動をみれば明らかであろう。正直難しいのでは?と思いつつ、チケット一般発売日のツイッターを眺めていると即日完売したとワグナーのフォロワーさんがつぶやいていた。マジか…と思いつつ、買っておけばよかったな…と思った矢先、一般発売が復活していたので自然とチケットを購入していた。ただ、仕事が忙しく音源をウォークマンに入れ聞いたのがライブ当日の16時というひどいありさまだった(※1)。

 

高崎線に乗り換え、さいたま新都心に向かう間に聞いた『Wake Up, Best! 2』はまさにmasterpieceという出来のアルバムだった。地下鉄ラビリンス、笑顔でキスミー、少女交響曲、セブンティーンクライシス、プラチナサンライズBeyond the Bottom、どの楽曲も傑作という出来だった。特によかったのが、監督が作詞したBeyond the Bottomで、MONACAの作曲とその卓越したリリックセンスが高い次元で調和しており、これがもうすぐ聞けるのかと自然と笑みがこぼれた。

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さいたま新都心は本当にこれでコンテンツが終わるのか?と信じられないぐらい活気にあふれていた。早々にグッズが全部完売したというののももちろんすごかったし、けやき広場にいたオタクもこれで最後とは思えないぐらいににぎやかで楽しそうで会場の周辺がオタクのキラキラであふれていておれもうれしくなっちゃった。

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涙涙

そして場内のフラスタにも感情があふれた。つい先日武道館で綺麗に最後を迎えたミルキィホームズが花を贈っていたのは涙以外の言葉がない。そして、複雑な心境であろう監督のフラスタは説明不要だ。こういう例えは本当によくないのは承知の上だけど、嫁から追い出された父親が娘の卒業式に花を贈るのエモエモのエモーションじゃないですか?

また、200エリアに入ったときに近くにいた(満員のSSAをみた)法被姿のオタクがまさか埋まるなんて思わねえよと目頭を押さえていたのも良かった。

 

ライブ自体もおれが何かいうのも失礼なぐらいよく、Beyond the Bottomも聞けて何も言えないというのが正直なところだ。

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この気持ちを画像で表すならこれ

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この気持ちを画像で表すならこれ(2)

ただひとついえるとしたら、7人のワグナーのみんなへの手紙朗読→ポラリス(前のオタクがサビで自然発生的に10人ぐらい肩を組んでいたのがエモすぎる)→トリプルアンコールのタチアガレの流れが、

 

最後にアニメ声優ユニットらしいしっとりした曲やったので帰ります。どうもありがとうwake up girls!でした。(タチアガレのイントロが流れる)そんな曲ありませ~ん!!!! だってロックバンドですから~!!!!!! かかってこい!!!!!!

 

って感じで笑顔のまま終わるのが最高だった。

完全に知らない学校の卒業式に闖入したオタクのオッサンという立場だったんだけど、本当に最後で最高のwugを観れてよかった、とファミ通のインタビューを読んで思ったのでそれを引用して終わります。

 

田中 悔しい思いをしてほしい(笑)。「WUGに触れとけばよかった」って。

www.famitsu.com

 

 

 

※1

たまにフラっと平日の武道館に行くが1曲もまともに知らないライブには言った記憶がない

2019.02.22 @青海 ZEPP TOKYO ヤバイTシャツ屋さん「ヤバイTシャツ屋さん “Tank-top Festival in JAPAN” TOUR 2019」  

 

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ヤバTのライブをはじめて観たのは2年前の法政の学祭だった。今でこそ考えられないが、ライブ前1週間になってもプレイガイドで2500円という破格のチケットが残っており、それを知った瞬間ファミリーマートでチケットを発券していた。

当日、学祭のライブということもあり、対バンのバンドのボーカルが学生に対して10分強熱い自分語り(大学4年生の時、ゼミの教授に進路を聞かれバンドで食っていきます!と言ったらそれはまともな選択ではないと一蹴され、ふざけるなという一心で苦節○年ここまで這い上がってきた!という大分説教チックな話。そんな熱いバンドと対バンするのが面白さ全振りのヤバTというのがだいぶ皮肉だし、現在はバンド活動を休止しているというのはすごく世知辛いな…と思った)で共感性羞恥(?)に陥っていたところ、ヤバTのこれ曲よりもMCの方が長いんじゃ…?という関西人特有の面白トークとあつまれ!パーティピーポー!やウェイウェイ大学生をはじめとした楽曲の佳さ、しばたありぼぼのキュートな歌声がおれの心をいやしてくれたのは今でも昨日のことのように鮮明に思い出す。

そんなヤバTも、次第にタイアップ等が増え人気が出てくるとともに、CD先行、eplus先行、一般発売のチケットに当たる気配がなくなっていった。しかし、いつか当たるだろう…と思っていてもチケットは一向に当たらなかったため、今回はシングル「とってもうれしいたけ」を2枚積んで応募したところようやく当選した。正直、今までも2枚積めば当たっていたのでは?と思ってはいたが、ヤバTで2枚積むのに大分心理的に抵抗があったので…

 

【ライブ前】

物販列の前にもりもとガチャへ。みなさんおなじみヤバTのドラムもりもとのグッズが確定で当たるガチャとのこと。シールはともかく、アクキーや缶バッジはアイドル気取りか!?と爆笑した。

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三回回した結果がこちら。ヘアゴムて…

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言うてアイドルでも自分のアクリルそんな作らへんやろ

その後物販列に並ぶも、途中でラババン売り切れ報告を聞いてやむ無く断念。ライブまで近くのモールをぶらぶらしているとヴィレバン店内でヤバTの楽曲が流れており若干テンションが上がった。

 

【ライブ】

以下公式よりセトリ。

 

新曲中心かつ過去アルバムの人気曲を集めたセトリ、めちゃくちゃ強くないですか?

 

以下印象的だった曲

 

・ネコ飼いたい

猫の日だからか猫飼いたいとかわかっとるやん!最後の終わることのないビブラートには笑ったし客もがんばえー!といっていてこやまがツッコミを入れていたのが彼ららしいなと

 

天王寺に住んでる女の子

語りパートの終電を逃した田舎の男の子を泊めたことのある女の子~終電逃して都会の女の子の家に泊まったことのある男の子~パートで前にいたカップルが二人とも手をあげていたのが人生って感じだった。そして大サビ前のもりもとのおもしろカウントのコーナーが音源同様滑りまくっていて爆笑した。

 

・どすえ~おこしやす京都~

後ろで存在感を出しているクソデカタンクトップくんが京都っぽい柄になっていたのが良演出だった

 

・君はクプアス

上記のセトリには書かれてなかった曲。ヤバTには珍しいスローテンポの曲でしばたパートの歌声が本当に映えるし、ハーモニカはこやまではなくもりもとがドラム叩きながら吹いていたんだ…とめちゃくちゃ驚いた。

 

・かわE

佳E越えて佳Dやんけって感じ。ニセコイの主題歌という大役を務めるのは伊達じゃなかった。

 

・ハッピーウェディング前ソング

最後にこの曲演奏して終わるの、こやまわかってるなと言う気持ち。

 

・かかとローラー

このライブを通して一番衝撃を受けた曲。曲前MCでこやまが「この曲引ける人いる?」と言って観客に挙手を求め、手を挙げたギターとドラムができるという客2人をステージに上げてこやまともりもとの代わりに1曲まるまる演奏させるのは狂気としかいえなくて笑ってしまった。ギターはコード等のミスもあり、こやまが演奏後「うーん、奇跡起こらんかったな」と京都人しぐさを発揮していたのが印象的だったが、ドラムはセミプロか?と思うぐらい上手で在野にこんなレベルがいるの?と衝撃を受けた(リンクは貼りませんが「かかとローラー ドラム」でツイッター検索すると本人のアカウントが表示されるので興味があればお調べください)。

そしてなにより、同じようにキャパ3000人のZEPPに立てるチャンスと技術があったとしても、おれはあの場で手は上げられないだろうな…とあの2人をどうしようもなく遠くに感じたのと同時に、チャンスの神様は前髪しかないということわざは真実なのだと思い知らされた。こやまも言及していたけれども、ZEPPの規模でやることではないし、なによりファンはヤバTの演奏を聞きたいと思うのが人情だろう(※1)。ただ、こやまが言う「ライブでしか起こせない奇跡を起こしたい」というのはすごく理解できるので、今後も趣向を凝らしたパフォーマンスに期待したい。

 

完全にかかとローラーにもっていかれたライブだったけれど、こやまもTank-top of the DVDの時のように声を枯らしておらず、MCも関西人らしさ全開で面白かった。特に印象的だったMCは、しばたが敬愛する元モー娘。道重さゆみからフラスタをもらった話。

 

 

 

ヤバTしばたはライブ中常に道重Tシャツを着ており、報われてよかったね…という気持ちになって脳内に夕映えプレゼント(※2)がずっと流れていた。そしてもりもとがフラスタをもらいたい芸能人を聞かれ、壇蜜インリンオブジョイトイという性欲に忠実な回答をしていたのが佳かった。

こやまが今後もライブハウスでライブをやっていきたいと言っており、今後もチケットの入手は難しいとは思うがフェスでもいいのでまた観たい。

 

※1

今後は客に演奏させるのは控えると発表していた

 

※2

黄昏に染まる世界がすきなんやなって…

www.youtube.com

2019.2.21 @ 九段下 武道館 Roselia「MX presents 「BanG Dream! 7th☆LIVE」 ■DAY1:Roselia 「Hitze」」

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ロゼリアは以前から楽曲を聞いていてポピパとは違った音楽性で好きだったし、去年ガルパーティで観て以来気になっていた。けれども、その圧倒的な人気っぷりと木谷曰く様々な「ドラマ」があった影響かツイッター等でみる限りポピパ以上に落選報告が多くCDを積んで応募するのにも若干尻込みしていた。そんな中、今回は初の武道館かつ平日公演ということで、それでもまだ可能性があるかな?と思い応募してみたところ当選しうれしさとロゼリアのファンの方に対してなんだか申し訳ない気持ちで当日を迎えた。以下レポ。

 

・OP演出→brave jewel

はっきりいってロゼリアの世界観を最初から印象づける最高すぎる演出。大音量で怒りの日を流すわスクリーンに中世の教会をイメージしたPVを流すわ無表情のメンバーが中央の棺桶風の入り口から出てくるわ1曲目からbrave jewelを演奏するわでやりたい放題で本当に参るね…

https://www.youtube.com/watch?v=0xD4Ulc2eVU

 

・R

Bメロのコールと緊迫感を持ったメロディからのサビの入り方が本当に最高すぎてさあ

 

・MC

桜川さんのコール&レスポンス、アリーナ・真ん中・一番上って雑すぎて笑ってしまった。それと昭和~平成~コールで平成が多数を占めていたの、やっぱり若いコンテンツなんだなとひしひしと感じてしまった。

 

魂のルフラン残酷な天使のテーゼ

最高。エバーの名曲がバンドアレンジされているのは聞いていて心地よい。そしてゆきなさんが使うセンター中央のマイクスタンドに薔薇の蔦を絡ませてるの本当にロゼリアのライブといった質感がある。

 

・曲間PV~Sanctuary

ブシロバラエティをやらなくてよかったという安心しかない。教会で一人一人が楽器を手にしていくという雰囲気極振りの音楽PV。最後に各メンバーの唇のアップとともにSa-nc-tu-a-ryと表示され楽曲が始まるのエモすぎる…

 

・陽だまりロードナイト

間奏のキーボードの三連系の動きが本当に佳さしか感じないのとリサねえとゆきなさん近すぎてアしか言えねえ

 

・Determination Symphony

一面緑になる客席、2番以降のモノクロの演出やマイクのエフェクトのかけ方、おれ好みのもの。

 

ロゼリア結成エピソードMC~軌跡

何度も言ってますけど本当に武道館公演を意識したMCからのセトリがつよすぎる

 

・販促MC

スティックはともかく、普通のバンドならTシャツやタオルを買って~と宣伝するところを楽器メーカーとコラボしたギターやベースを紹介するの本当に金のかかったプロジェクトだと思ううんですよね。

 

BLACK SHOUT

大サビ前の一瞬の静寂と客席の歓声が本当に音楽として最高に完成していてここ何度も見ていたい。

 

・アンコール前ラストMC

氷川紗夜「ポピパちゃんたちが立ったステージにこうして立てているわけだし、バンドリーマーさんたちに感謝ね」←ここすき

ラスト曲で決めるところなのにゆきなさんがマイクの位置を直し続けていたの大分面白かった。

 

・キャラを崩してはいけない撮影現場

まさかここに挟むか!?と思ったブシロバラエティだったけれど、最後まで見ると確かにここが正着だなと感じた。ライブ本編でこれやったらせっかくのムードが壊されるしね。

 

Re:birth day

リサねえとさやちゃんの接触大目でうれしい。エバエバー苦しくてもなんやな…

 

・MC~熱色スターマイン

花火のように儚い光かもしれないけれどこの曲を届けます(スターマインを演奏する)→エ、エモーショナル…

 

・Neo-Aspect

熱色スターマインで余韻に浸っていたところまさかのこれで終わっていいの?的なMCとともにもう1曲歌うサプライズがうれしい。今回の席が1階北側だったので少し銀テープに期待していたんだけど自分の方に届かなかったのは少し残念だった。けど発射された銀テープとステージが今でも目に焼きついているぐらい鮮明だったのが印象的だった。

 

 

ロゼリア武道館、最高!!!!!

全体的にキャラを演じ続けていたロゼリアのワンマンは何度も武道館にゆきなさんたちが立っているような錯覚を何度も生じさせたし、棺桶から出てきて棺桶に戻る演出は本当に世界観を大事にしているなと。あと、おれはギターやベースの上手下手はわからないけど、ドラムについては櫻川さん自身が言っていたようにシンバルが欠けていた部分とかスネアの16分が不ぞろいになっていた印象は多少あるにしろ、武道館に対しての気持ちが十二分に伝わってくるいいパフォーマンスを見せてくれたと思う。今回のライブ前とライブ後でロゼリアに対する印象が90度ぐらい変わったし、キャパが更に大きくなった2daysの山梨公演へのモチベが沸いてきたので今からCDを積んでこようと思います…

 

2019.2.23 @ 九段下 武道館 Poppin’Party「MX presents 「BanG Dream! 7th☆LIVE」 DAY3:Poppin’Party 「Jumpin' Music♪」」(ライブビューイング)

 

6thのレポで 

それはそうと武道館3daysはめちゃくちゃ嬉しいのでポピパ含め複数日行きたいですね

と書いていたんだけど、武道館という1万以上のキャパであるにも関わらずCD先行で落ち、月ブシは買えず、一般発売はサイトにすらつながらない有様だった。

なぜ4~6thまで現地で観れていたのになぜここまでチケットが取れなくなったのか自分なりに考えてみた。

 

1期のアニメが木谷も言及しているとおりそこまで評判が高くなかったのに対して、ガルパ等で着実に知名度・人気を上げていった

②他の2バンドが平日夜という気軽に行きづらい日程に対して、ポピパは土曜開催と普通に社会人も学生も応募しやすい日程だった

③バンドの一つの節目である武道館ライブに参加したい人間が多かった

④ポピパの楽曲が純粋に強い

⑤今までおれの運がよかっただけ

 

以上とりとめのない考えで恐縮なんですけど普通に⑤が最有力なんですよね…(今回よりもキャパの狭い5thも6thも当てているため)

以下レポ。

 

・二重の虹

初めから愛美の声がかすれ気味で若干不安になりつつも初手二重の虹でテンションが上がる。Cメロのアヤカオオハシ・伊藤パートいいよね…

 

・Happy Happy Party!

サポートドラムに任せて立奏したり全力で手を振るアヤカオオハシが本当に楽しそうでこっちまでうれしくなる。あとサポートドラムの顔が好き。

 

・カバー曲パート前MC

「ポピパじゃなきゃダメみたいっ!」と叫ぶアヤカオオハシ、曲前MCだとしても唐突すぎて笑ってしまった。

 

・カバー曲

まさか君じゃなきゃ~とレールガンの2曲もカバー曲をやってくれるとは思わなかった。やっぱり原曲とは違ったバンドアレンジの妙があるなと。

 

・遠い音楽 ~ハートビート~

アヤカオオハシの圧倒的歌唱力の前にパンツタイプの制服のことなんて刹那で忘れちゃった(LIGHT WING焛童心亜)いやマジでドラムボーカルメインで叩きながら歌って天下取れるレベルの歌唱力で彼女がホリプロ声優だということをひしひしと感じた一瞬でした。尺の問題なのか1番しか歌わなかったので次はフルで聞きたい。

 

・す、好きなんかじゃない!

サビのちょまま(オタク特有の早口)パートくるおしいほどすき。マジでこの口の悪い歌詞が心の隙間にスッと入ってくるんですよね。

 

・ぽっぴん'しゃっふる(アコースティックver)

ボサノバ風に三連系でカホンを叩きつつ合間合間に入るスプラッシュシンバルの抜けた高音がめちゃくちゃ心地いい。

 

・Time Lapse

2番サビ前の愛美のヒイロみたいなポーズよくないですか?

 

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・MC

武道館の中心でポピパへの愛をさけぶ5人がポッピンパーティを体現していた

 

キズナミュージック

サビの各パートのユニゾンが佳すぎて何も言えないし、アヤカオオハシの「とどけよー」「かなでよー」がここまで心を揺さぶるとは思わなかった。そして大サビでシャボン玉(風船?)を飛ばす演出がズルい。

 

・アンコール後MC

安直にボヘミアンラプソディブームに乗り唐突にwe will rock youの足踏みをしつつポピパノピポパとリズムに乗せ歌うのライブ感ある

 

・CiRCLING

イントロで珍しくテンポキープできていないアヤカオオハシ。この曲の一番の聞きどころであるところのBメロりみりんパートの「神様 約束どおり私たち ひとつになれました」が5thよりもピッチが安定していて涙しか出ないし、Cメロのアヤカオオハシパートが一生終わらないでほしいと思うぐらいに響いていて…エモーショナルで…

 

Jumpin'

この曲、静と動が入り混じっていて本当に好きなんですよね。スネアのチューニングが原曲よりも低かったのがよかった。

 

ポピパ7th、10000000点!

本当に生で観れなかったのが悔しいと思うぐらいの最高のライブだったし、6thのようにブシロバラエティを挟まずに各メンバーにインタビューしていく映像も二度目の武道館を感じさせてくれてよかった。

個人的に印象的だったのがアヤカオオハシと愛美のインタビュー。

アヤカオオハシは、沙綾が劇中の笑顔を意識して叩くようにしていること、基本的にドラムはギターやベースよりも離れてしまって若干孤独なので6thから立奏スタイルで前に出て演奏するようになったことを語っていた。立奏スタイルは観ていて楽しいのはもちろん、代わりにサポートドラムが入るようになるので、バンドリ以外でも忙しい彼女の負担を少しでも減らしてくれる意味でも続けてほしいなと思う。

また、愛美は3rdライブ後、ポピパの武道館ライブ決定よりも、ロゼリアのサプライズ出演の方がネットで騒がれていたのが悔しかったと当時の胸中を明かしていた。その後もロゼリアみたいにすればいいのかな…と紆余曲折を経つつ、ポピパはポピパでいいんだ!とようやく吹っ切れたとインタビューに答えていた。確かに同じバンドリというコンテンツでも、演者とキャラの距離感(ライブ中はキャラを演じ続けて役者を極力出さないorキャラと役者の境界が曖昧か)や音楽性、演出、ファン層などここまで違うのか…と先日ロゼリアの武道館公演に参加して驚いた。ただ、全体的に和気藹々とした空気感ととことんキュートなサウンドを奏でるポピパがおれは好きだし、そういった需要は確実にあると満員の武道館を見て確信しているので今後もポピパらしいライブを見せてくれれればと思う。

 

そしてまさかの西武ドーム公演でサイレントサイレンとの対バン公演発表には驚くしかなかった。いや次は規模的にSSAだと思うじゃん?普通にドームですよドーム。さらにドームで対バンは笑うしかないでしょ聞いたことねえ。LVでのおれの周囲の方々はテロップに無言の警告と表示されても無反応でサイレントサイレンの知名度の無さにかなしくなっちゃったあ。めちゃくちゃボーカルのキーが声優巻ある高さのオタク受けするバンドなんで聞いてください佳いんで。ただ、ガールズバンド最強決定戦みたいなテロップはちょっと盛りすぎなのではと…一昨年紅白に出場したSHISHAMOを忘れないでください…

さすがに西武ドームで落ちることはないと思うんで心置きなく参加表明ができます。待ってろ所沢。

2019.01.30 @青海 ZEPP TOKYO SHISHAMO「SHISHAMO ワンマンツアー2018-2019 追加公演 「ねぇ、あなたとあの娘は夢でしか逢えない間柄なのにどうして夜明けにキスしてたの?」」

 

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おれはガールズバンドや女性がボーカルのバンドがあるとすぐ飛びついてしまう、それは未だにフーバーオーバーの面影を追い続けているからだ(※1)。ある日、ふとタイムラインを眺めていると、タイムラインのオタクがyoutubeの動画を貼っているのを見て知ったのがSHISHAMOだ。確かその時聞いたのが君と夏フェスで、女の子がすきぴとフェスに行くという曲に常に斜に構えているおれはもっとフェスに真剣になれ!!!!タイテを極限まで回せ!!!!!フェスを色恋沙汰に消費するな!!!!!!!!!という思いを抱きつつも、大サビ前のスネアのタッタカ佳すぎか?と一瞬ですきになった。そんな感じで彼女たちは2017年の紅白に(実家の母曰く)近所のスーパーに行くような恰好で出で明日もを披露したり、(惜しくも台風で中止となってしまったが)2018年夏に等々力競技場でのライブを決めたりと躍進していった。そんなところを見ていたのでチケットも正直取れないんだろうな…と思っていたのだけれども、平日だったからか追加公演のチケットが一般で取れたため行く機会に恵まれた。以下レポ。

 

■ライブ

・開演前BGM

ピーズが流れているのが佳い

 

・開場前アナウンス

「ペンライトのご使用はおやめください」のアナウンスを聞きこれがガールズバンドだぞそこんところわかってるかアニメバンドリの客!!!!!と強く思いました。

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オタクライブ感覚か?

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ゆ”き”な”さ”-”ん”!!!!!とクソデカ聲を出す限界女ほんとすき

 

・コール&レスポンス

数曲演奏後aikoのような男子~!女子~!がはじまる。まあこれはPufume等でもよくあるんだけど、高校生女子~!高校生男子~!中学生女子~!中学生男子~!小学生~!小学生未満~!とやたらと刻んできて笑ってしまった。小学生未満の5歳の女の子が声をあげたときにあさこが子供に対する優しい声色になり「今回は子供でも見れる健全なシシャモで行こうな」という決意表明を行っていて腹が痛かった。

 

・吉川の○○な話

その名のとおりドラムの吉川さんがちょっとしたエピソードを語るパート。今回は地方でのライブ後に楽屋に来てくれた地元のアナウンサーとの出来事で、ライブの感想とともに吉川さんの○○な話がめちゃくちゃ面白かったです!と言われ、話のプロであるアナウンサーに例え社交辞令でも褒められたことに照れる吉川さん。「当然ですよ~」なんて言えるはずもなく、謙遜と照れ隠しで「あんなクソみたいな話を褒めてくださってありがとうございます」と感謝を伝えると「いや~最高のクソみたいな話でしたよ!!」と返答され、吉川さんのみならず、他メンバー2人もアナウンサーのあまりの失礼さに一瞬言葉を失ってしまったというお話。吉川さんの語りがあまりにも小気味よくてつい聞き入ってしまった。

 

SHISHAMOのお悩み相談&リクエスト曲

今日会場入り口で募った相談&リクエスト曲をメンバーがボックスから引いて回答したり演奏するコーナー。お悩み相談の1件目は、地方の実家暮らしの看護学生の女の子がこのまま地元で就職して実家暮らしを続けるか自立のために上京して就職するか悩んでいるとの相談だったのだが、この質問に普通に回答するのではなく、質問者に挙手を求めて質疑応答しつつ回答していくスタイルだったのは笑ってしまった。こんな衆人環視の中人生相談なんてよっぽど図太くなければ手をあげないでしょ…と思っていたのだがその予想は当たり、2件目の恋愛相談(女子大生が社会人のサークルの先輩(悪い評判有)に恋愛対象として見られたい、女子大生は恋愛対象としてみてくれるのか?アタックの仕方は?)については挙手がみられず、3人も非常にふわーっとした回答に終始していた。

リクエスト曲については、結構ガチで抽選しているような雰囲気があり、あさこがリクエストカードを引くと「これ最後にやったの一年以上前だしできるかな…」みたいなリアクションを3人でしていた。実際、リクエストカードのエピソードの強さで決めると後出しじゃんけん的に4枚ほど引いていたのだが、そのほとんどがすきぴへの思いをちりばめたエピソード(高校の時の(恋愛対象的な意味ではない)憧れの先輩と今でも接点があり未だに尊敬する人です的なエピソードが採用されていた)であり、かなり厳しい気持ちになった。しかし、パッと見男女比が3:7であり、前述のコール&レスポンスの反応を見る限りではシシャモの主なファン層が女子高生~20代前半の女性であることを加味すると、おれが悪いという結論に至ってしまった。演奏されたさよならの季節は確かにmasterpieceだったしねぇ先輩連呼にマシュ・キリエライトかアズマリムがカバーしてくんねえかなと強く思った。 

 

・セトリ

最新アルバムの曲中心でアコースティックverや過去のmasterpieceたちを散りばめていて強いとしかいえない俺好みのセトリ。特に君に夏フェス→明日も→(アンコール後)ねぇは最高の一言。また、過剰なレベルで銀テープを発射するのは本当にファンサしゅごいなと。

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ZEPPのキャパを考えろ!としか言えない過剰すぎる銀テープ発射

 

・終演後BGM

ピーズが流れているのが佳い(2)

 

■おわりに

3人がMCでファンと双方向で楽しませてくれていたいいライブだった。今回はあまり楽曲に言及しなかったけれども、3ピースバンドだっけ?と一瞬疑うような力強いサウンドと吉川さんのCDで聞くよりもパワフルなスネアさばき、松岡さんのゼロ年代声優のような声、あさこの10曲目前後のMCで声がかすれつつあったのに曲ではまったくそれを感じさせない伸びのある歌声と非常に佳かった。SHISHAMOの楽曲はまだまだ聞きたい曲が多いのでまたライブに行きたいし、去年中止になった等々力競技場でもしもまたやるようなことがあったら彼女たちの雄姿を絶対にみたい。

 

 

※1

拝啓 岩沢正美さま - beki雑記

2019年1月の読書  

 

田中雄二AKB48とニッポンのロック ~秋元康アイドルビジネス論』

 

AKBの歴史を秋元康から600頁超でひもといた本。正直このタイトルをみたとき、アイドルマスターシンデレラガールズ多田李衣菜ちゃんが○○ってロックだよね…となつきちに言うような申し訳程度のロック要素しかないとたかをくくっていた。そんな想像どおり確かに600頁中大半はAKBについての言及だが、作者が書籍編集者・音楽ライターだった一面もあり戦後の日本商業音楽史の概要を知るのに適したものとなっている。

例えば、第1章【AKBは何が新しかったのか】では、2000年代のアニメ魔法先生ネギま!のOPテーマ曲「ハッピーマテリアル」を2ちゃんねるの一部の板の住人がオリコン上位にして歌番組に出演させよう!!!!という運動がなぜウィークリー3位になっても実現しなかったかについて、声優の所属事務所が大手芸能事務所で組織される「音事協」に加入していなかったからだろうと説明しているのは膝を打ってしまった。もちろん、近年ではけものフレンズどうぶつビスケッツ×PPP」やラブライブ「μ's」「Aqours」、バンドリ「Roselia」などのユニットが地上波のゴールデンタイムの音楽番組に出ることは珍しいことではなくなったが、2000年代を振り返ってみると確かにあそこまで流行したけいおん!の声優をエムステで見た記憶はない。また、第0章【プロローグ】では70年台の吉田拓郎の騒動からなぜフォークソンガーがTV番組に出ないか等を解説したりと、AKBに興味がなくても読めるつくりになっている。個人的には、アイドルマスターシンデレラガールズ橘ありす役の佐藤亜美菜さんが声優に抜擢当初アイマスのオタクから叩かれていた時代から現在の見事な手のひら返しといっていいほどの絶賛具合までを書いていたのはポイントが高かった。いやこの間の西武ドームのfact、演出も合わせてすごかったですからねマジで。

 

チャールズ・カヌーセン『帰国子女-帰国する前に親子で読む本』

 

小学生から中学生の帰国子女が日本に帰国した際に英語力を維持する勉強法や日本の学校での立ち回り方、帰国子女枠のある大学一覧等をまとめた本。正直自分は英語がまったく話せないし、帰国子女でもなんでもないのだが、帰国子女がどういう思いを持っているのか気になって手に取った。作者は外国人であり翻訳本特有の読みにくさはあるのだが、英語力の維持にはテキストでの勉強以外にもyoutubeの動画を見たり、海外の友人と週末通話しながらマインクラフトをすることも含まれていてすごく具体的だった。また、日本での学校文化と海外の学校文化は大きく異なっており、アメリカでは教師に盾突いたり男女問わず仲良くすることがスクールカースト上位者のクールなふるまいだったとしても、日本でそれをやると一気に異常者扱いされるのは文化の違いだと痛感した(後者について、転校してすぐ女子生徒に自己紹介をしつづけたら「ナンパ男」のレッテルを張られつまはじきにされたとのこと)。また、学年が1つ違うだけで先輩後輩の上下関係になる決まりごとに違和感を持つ帰国子女が少なくないというのが日本の当たり前は海外の当たり前ではないんだなと衝撃を受けた。でも確かにそういうことは少なからずあって、インターネットの人間ともし会社や学校で出会っていないからこそ(それが実質的に対等かは置くとしても)対等な人間関係を構築できるのだと思った。帰国子女やその親のみならず、日本と海外の文化の違いについて興味があれば読みたい1冊。

 

司馬理英子『よくわかる女性のアスペルガー症候群

 

人付き合いが苦手な発達障害の女性に向けて書かれた本。タイトルを見たとき、「精神科医なのに今時自閉症スペクトラム障害ではなくアスペルガー症候群を使うんだ…」と思ったのだが、巻末の補足ページにあえて使っていると言う説明があって少し安心した。発達障害の本は近年発行が多いのだが、この本は女性にターゲットを絞っているのが強み。例えば、男性コミュニティよりも複雑な女性グループとの付き合い方やガールズトークのこなしかた、男性との交際の中での性的な接触など、一般的な発達障害の本ではあまり見られない記述があって新鮮だった。特に、女性としての身だしなみ・おしゃれのページでは、6例もTPOに合ったコーディネートの記載があり、男性向けの本の寝癖を直す・ネクタイをちゃんと締めるレベルとは大分異なっているなと思ってしまうとともに、女性に普段求められることの重さを少し感じた。

 

吉田 裕子『大人に必要な「読解力」がきちんと身につく 読みトレ』

 

現代人に必要な読解力をつけるためのトレーニング本。読解力?と言われてもすぐピンとこないが、作者はとあるベストセラーのビジネス本(内容が薄いという評価が多いとのこと)の漫画版の発売に対して「これでようやく読める」という1件の投稿を見て、もしかして読解力がない人が増えているのではないか?と思ったとはじめにに記している。これはおれも少し納得するところがあって、例えば『君たちはどう生きるか』の漫画版が結構な売れ行きを見せているところを見ると本編自体の内容だってそこまで厚くないんだからせめて原著で読んでくれと思ってしまうし、コンビニで売っている類書多数の内容が薄い自己啓発漫画が幅を利かせているところをみると、読書という習慣自体がだいぶすたれているのでは?と危惧してしまう。

本編の内容としては、文章の要点の見つけ方、接続語指示語助詞から読み取る文章の把握、文章を図解化する方法、読解力の長期的な伸ばし方など例題とともに文章の読み方をレクチャーしている。その中でも特に、玉石混交のインターネットの情報を読み取る力を学ぶこれからの時代に欠かせないリテラシーについて学ぶ4章が印象的だった。まず、作者は以下のような例を挙げている。

 

男って、どうしてここまで気がきかないん?こっちがどんだけ尽くしてやってるか、全然気づいてないっていうね。「夕食いらない」って電話しただけで「オレえらい」って思ってんの、マジ3歳児。この残った夕食はどうしたら良いか教えてほしいなぁ?節約しろっていうのどの口~?

(吉田 裕子『大人に必要な「読解力」がきちんと身につく 読みトレ』124p)

 

 

これを見たときツイッターで毎日見る!!!!!!と聲をあげてしまった。この文章、すべての男は気が利かないと一般化してしまっているのが致命的だ。こんなツッコミどころ満載の文章を全世界につぶやいたらまあ間違いなくクソリプの1件2件は来てもおかしくはない。こんな感じでやたらと具体的な例(とそれに対する批判リプライ等)を挙げながらも、改善案(上記の文章なら男を夫にするなど)などを出しているのが非常に実用的だと思った。おそらくこの本が筆者が冒頭で述べたベストセラーの漫画版を読む人には届かないとは思うが、平易で非常に読みやすいのでそのような人の目に触れることを切に願う。

 

劇団雌猫『浪費図鑑 悪友たちのないしょ話』

 

アニメやソーシャルゲーム、同人誌、ホスト、ディズニーランド等にお金を費やす女性たちにスポットを当て、その思いを語ってもらった本。皆さんの趣味に対する熱量がすごく伝わってきて純粋にすごく面白かった。

例えば、若手俳優で浪費する女というコラムでは、自分がプレゼントした服をその俳優が着てくれるのが楽しくてつい全身をコーディネートしてしまうに至ったというのには笑ってしまった。個人的に一番好きなコラムはあんスタに浪費する女で、まずいきなり同人175スレの解説をしていて爆笑せざるを得なかった。おれはあんスタについて、めちゃくちゃ女性向けで人気があり、池袋のゲーセンでのプライズの設定がエゲつないということしか存じ上げないが、自分の推しがガチャやイベントで来たら自引きしたり走らないと担当失格の烙印を押されてしまうと述べている点が在りし日のアイドルマスターシンデレラガールズ(モバゲー版)を思い出しエモくなってしまった(※1)。そしてなぜカチカチゲーでつまらないと彼女自身がいうあんスタをプレイするのか?という問いにキャラクターがとってもえっちだからです!と即答していて性欲に忠実すぎる回答に腹を抱えて笑った。

この本の魅力としては、なかなか現代用語の基礎知識でも掲載されないようなオタク用語の解説が欄外に載っていることが挙げられる。また、浪費女2000人アンケートという浪費事情を探る統計では、年齢や年収、居住形態(※2)が記載されており、これを読めばタイムラインで見るあの人はいつもエゲつないお金の使い方をしているけど一体何やっている人なんだろう…?という疑問が多少解消できるかもしれない。

おれもライブに年20回前後行くので会社の人間から若干引かれることがあるが、この本を読んで仲間がいる”よ!!(ワンピースモンキー・D・ルフィ)と安心してしまった。趣味への浪費が激しい人に読んでもらいたい1冊。

 

 

 

※1

彼女がいう課金マウンティングはもう自分のタイムラインではめったに見なくなってしまったのだが、そういう時代が確かに(一部だけかもしれないが)あった気がするし、たまに見かける気がする。そういう空気感を思い出したい時は三才ムック編『走り続ける男たち モバマス廃人』を読みたい。

 

※2

54.2%が同居だったり、68.8%が~20万/月の収入だったりとなかなか興味深い。